子供のころ、唯一食べられない野菜がナスビでした。
他の野菜は多少苦くても食べられるのに、ナスビだけは食べる気力すらわきませんでした。
「まあ、ナスビくらい食べられなくてもいいんじゃないの」
親も笑って許してくれました。友人も笑って「自分も苦手なんだ」と寄り添ってくれました。

そんなことで克服する機会もないまま大人になり、ある日のこと、不意にナスビ好きの友人に問われました。
「ナスビのどのあたりが苦手なの?」
私は味や香り、舌触りなどがどうしても受け付けないことを正直に言いました。
「あと、食べるとなんか口がひりひりして痒くなる…」
その発言に友人は一呼吸おいてから私を一瞥し、こういいました。

「それ、アレルギーやろ」