続いての一こまもレトロテックな高級車から。なんと、イギリスが世界に誇る最高級車・ロールスロイスファントムMk-3の1936年モデルをベースに、1950年代初期から中期にかけてのアメリカ製高級車と見まがうばかりのモダンな出で立ちのボディを架装したばかりか、エンジンはオリジナルストックの水冷V型12気筒OHV7,338ccガソリンエンジン[ボア×ストローク114.3mm×82.5mm、圧縮比非公表、最高出力160hp(120kw)/4,000rpm(推定)、最大トルク非公表]そのままに最新鋭の電子制御燃料噴射装置をドッキング。電気系統もICオルタネーターとセルモーターそれにマイコン制御式イグニッションを搭載するなど、思い切った近代化が図られています。
 足回りはフロントがオリジナルストックのセミトレーリングアーム&ダブルウィッシュボーンコイルスプリング、リアにはマルチリンクコイルスプリング式ユニットを組み込んだ4輪独立懸架式で、これに電子制御アンチロック回路内蔵4輪ベンチレーテッドディスクを搭載。トランスミッションは電子制御オーバードライブ付5段変速オートマチックコラムシフトを採用しています。
 出で立ちは1959年デビューのジャガーMk-ⅨとロールスロイスシルバークラウドMk-2、それにクライスラーインペリアルルバロン1954年モデルとリンカーンモデルK1938年モデルを足して4で割った趣のあるミドルセンチュリー風味の4ドアセダンで、フロントウインドウシールドグラスは一枚成型型のカーブドグラス。リアウインドウシールドグラスは左右両端を小さく切っててっぺんに近づくにつれて幅が広がるラップアラウンド型カーブドグラスを採用して高貴さと広さ明るさを両立させた独特のスタイリングを実現させています。そしてインテリアも運転席と後部座席をパーティションで仕切ってロールスロイスらしい上質感を大事にしながらもカーナビゲーションモニター、エアコン、フリーハンド車載電話機、システムコンポーネントカーステレオ(テレビチューナー内蔵)、カラーテレビ、カクテルボックス、車載用小型冷凍冷蔵庫など、まさに走るラウンジと呼ぶにふさわしいアメニティが満載されています。
 それにしても我が国の皇室にもゆかりのある天下の高級車をこんなふうにカスタマイジングしてしまうなんて、畏れ多いけどおもしろいですね。