美少年は、夏のむわっとした熱風のなか、目的地まであるく。
陰鬱とした表情に、意思のある口元をしている。
ちりーんとどこかで、風鈴の音がする。
嗚呼、夏が来た。
悲しみに彩られた、またあの夏が。