藁をも縋る思いで数本の藁を持って旅に出たのだが、軍資金が尽きてしまい住み込みで旅館にお世話になって三年…旅館での仕事に満足していた。
そんなある日の事、私は普段通りに起きたのだが、時計をみて驚いた。時計は午後の7時を指していたからだ。大遅刻じゃん！誰か起こしてくれてもいいのに…と思っていたのだが、どうも様子がおかしい。廊下でドタバタと他の客はおろか、旅館のスタッフも右往左往している。寝坊したのは私だけじゃない、それどころかお客さんまでもが慌てている。集団で寝坊した訳だ。
状況がわからないまま、ウロウロしてると旅館の中にある庭園で一人の女の子がいてランプらしきものを持ちキュッキュッと磨いているのではないか。そのランプからはもくもくと黒い煙が立ち、空を真っ暗にしている。
私はすぐに彼女のところに行き、辞めるよう注意しようとした。
『あ、ごめんなさい…ランプを池に落としちゃって拭いていたの。そうしたら煙がね…』
角耳蹄と名乗る女の子はなんでも世界中をあちこち旅している行商なのだそうだ。たまたま日本に来てうちの旅館に泊まっていたのだとか。
『本当にごめんなさい！このランプは私が作ったんだけど、“暗闇のランプ”っていうの。このランプを使うと黒い煙で強制的に夜にしちゃうの。そうだ！迷惑かけちゃったらコレ、あげるね。タダは嫌？じゃあ…そうだなぁ…そこに座ってるクマちゃんはどう？ただ、ランプは雨とか雪の日とか天気の悪い日には使えないの。』
私はカウンターに座る熊のぬいぐるみとランプを交換した。そんな中、青い髪の女の子が血相を変えて入ってきた。
『ねえねえ！空いてる部屋ってあります？突然夜になっちゃってあちこち歩いてたんで疲れちゃったから。』
私はカウンターのパソコンを開き、空き部屋を探していたのだが私は驚いた。耳が尖っているのだ。所謂エルフと言われる人種…らしい。
『あの…ひょっとして私の耳が見えてる？貴方の思っている通りエルフなんです。普通の人間には見えないようにしてるのに…まあ、いいや。内緒にしててよね。』
私は彼女を部屋に案内した。部屋に入った彼女…“なこ”と名乗ったのだが、彼女は部屋に置いてあった茶器を見て素っ頓狂な声をあげた。
『ねえねえ…このコップ（茶器）、貴方の？え？貰った？それ…もっと良く見せてよ。』
と、彼女はマジマジと茶器を凝視している。
『やっぱり！これ…“リッちゃん”のコップじゃん！久しぶりだなぁ、リッちゃんのコップを久しぶりに見たよ。“リッちゃん”って誰かって？貴方は知ってる？千利休って人。私の知り合いなんだぁ。』
リッちゃん？千利休をちゃん付けするなんてこの子は…と思ったのだが。
『エルフって西洋とかをイメージするけど一部のエルフは東洋に興味を持っていた人がいてかなり昔に日本に移住したんだよ。私はその子孫。ここに住んで長いんだけどさ、昔、道に迷ったリッちゃんを私が助けた訳。なんでもヒデヨシって人に呼ばれて出かけたっきり会えなくなっちゃって。リッちゃん、有名人だからなぁ…元気にしてる？え？もういないの？コップの持ち主、きっとリッちゃんの子孫だよ！ねえねえ、そのコップ、私にちょうだい！んー、でもタダは図々しいかな。そうだ！私のお守りと交換してよ！』
…と、彼女はズシっと大きな塊を差し出した。
『これはね、私達一族に伝わる肉食獣の頭骨を水晶にしたものなの。肉食獣って言うと凶暴なイメージがあるけど天寿を全うした肉食獣は水晶にしてお守りにするの。』
確かに爬虫類とかの頭の骨っぽい。私はトレードを申し入れた。
『ところでさ…首に下げてる首飾り、“ムーンライト”でしょ。ムーンライトの光があったからここに来れたんだよ。ムーンライトが光ってるって事は私が選ばれたんだね。ムーンライトは持ち主の未来を照らすもの…貴方は一ヶ所に留まるべきじゃないよ。そろそろここを離れてみるべきだよ！』
私は彼女の言う通り、また旅に出ようと思った…。
・暗闇のランプ
・完成された竹の掛け軸
・頭骨の水晶
・秘密の地図
が、今回のトレードです。貴方が所持する物で交換したいものを持った女の子（人でなくても動物でも怪物でも可）をアイコンサイズで貴方のサインを入れてお描きください。一つでも交換は受け付けますが2つ以上でも可能です。提案には交換するアイテムの説明をお願いしますが、秘密の地図と交換するには“この世で一番大事な物”と交換です。
今回のわらしべ長者にあたり、前回採用した角耳蹄様・なこ（nAco）様のイラストを提示します。
うさこさんのリクエスト
トノエミカ/月嶺ひつきさんのリクエスト
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