◆推理モノで外部と連絡が取れない状況であることを説明するための、少し斬新な描写
「くっ……格安スマホだから圏外だ!!」

◆正月に親戚で集まりテレビを観る
女の子「プイキュアがんばれ~」
親族男「オジサンもプイキュアにボコボコにされたいな」
女の子「お年玉置いたらさっさと帰れよ豚」
親族男「そうそうそんな感じで♡」
女の子「パパ~こいつ殺していい?」

ニュース「1月2日未明『カバが道路で死んでる』と通報があり、警察が駆け付けたところ中年男性の惨殺死体が発見されました。凶器は鎌とみられ…」

◆痛
友「お腹が…下行結腸が痛い」
私(随分、身体の名称に詳しいな…)

◆裏ボス誕生の瞬間
神「勇者よ…目覚めるのだ」
青年「…体調不良のため休みます」
5分後
女神「勇者よ…目を覚ますのです」
青年「はぁい!!」
神(この世界滅ぼそうかのぅ)

◆芸能人
ある日、喋ったことの無かったクラスメイトから「芸能人で誰がタイプ?」と訊かれた。

私は芸能に全く興味が無かったが、正直に「いない」とは言えず、流行りの有名人の名を適当に答えて場を切り抜けようとした。しかし、
「いいよね!私も大好きなんだ!」
と共感されてしまい、それ以来その子からは、
「昨日の動画見た?」「この角度からの写真格好良くない?」
などとメッセージが送られてくるようになった。

結局私は、本当は全く興味が無いその有名人のことを、好きなフリをしたまま話を合わせ続け、卒業まで過ごしてしまった。
「やっと話が合う人に会えた」と言いたげなあの子の表情と、好きでもないのに名前を挙げた芸能人に対する罪悪感を、大人になった今でもたまに思い出す。

◆一行で論破
大人「我慢しろ。お前も大人になったら分かる」
子供「じゃあ説明してくれ。子供の俺でも分かるようにさ」

A「なんで私、何もしてないのに嫌われるの」
B「何もしないから嫌われるんだよ」

◆入学式
四月、春らしく暖かい日。
閑静な住宅街に馴染む小奇麗な校舎を構えた真白高校の体育館で入学式が行われていた。
白い襟が特徴的な真新しい制服を着た紬葵は、緊張で静まり返った百六十名の新入生のうちの一人として、口を一文字に閉じ、伝統ある女子校の雰囲気に早くも溶け込み始めていた。
普段は黄色い声で話している女子たちも今は個性を潜ませる。

◆兄が好きな妹
妹が知る男性の中で、最も頼れて最も優しい男性は兄だった。
親は滅多に帰宅せず自分達に無関心で、学校に行かなくても咎めない。
妹の世界のほぼ全てを占める六畳半の古い公営住宅において、唯一の味方は兄だった。
血縁者に恋慕を抱くことがいかに禁忌であるか説得されても、逆に兄への依存と想いをより強くさせるだけだろう。

◆時間の流れ
久し振りに実家に帰省し、中高生時代に毎日聴いていたアーティストの歌を聴く。
十年近く振りに懐かしい歌を聴いて、当時よく遊んでいた友人達の顔を思い出す。

思い出す皆の姿は、誰もが母校の制服を着ていた。大人になった皆の顔も服装も分からない。

最後に会った時は、成人式の日だったか。会っていない期間が長くなり過ぎた。
「忙しい」「みんなも忙しいはずだから声を掛けても迷惑だろう」
などと会わなくてもいい理由ばかり探していたから、当然か。

同級生の彼ら彼女らは、今は何をしているのだろう。結婚して、子供もいるのだろうか。

この時、私は初めて、自分が当時から十年以上の時間を過ごしていたことを痛感した。
そして、大人になってからの十年よりも、中学時代の一年や一か月の方が、その密度が濃いことを知る。

◆ホラー風
彼の部屋の机の引き出しが珍しく開いていたので、気を利かせたつもりで閉めようとする。
すると、引き出しの中に小さなアルバムが入っているのが見えた。
引き寄せられるように、手に取って開く。

「なにこれ……」

そのアルバムには写真がたくさん飾られていたが、写っている人物の中で、私の顔だけが真っ黒に塗り潰されていた。

「あー、見つかっちゃったか」

最後まで見終えたと同時に、背中の後ろから声がする。
聞き慣れた彼の声のはずだが、感情の無い冷たい声だった。