【花嫁の手紙(結婚式にて、新婦である娘から両親に宛てる想定)】

今日、この日を迎えるにあたり、私は実家で古い物を整理していると、古いアルバムを見つけました。

そのアルバムは、私がまだ母のお腹にいる頃の写真から始まっていて、
産まれたばかり私を両手で抱く父と、そのすぐ隣で微笑む母の写真、初めて歩いた時の私の写真等がありました。

そんなアルバムのページをめくっていくと、最初は赤ちゃんだった私も少しずつ成長していって、
幼稚園に通っていた頃の私は、父に片手で抱えられ、無邪気に笑っていました。

そして、アルバムの写真はだんだん少なくなっていって、ぎこちない笑顔の私が写った、入学式や卒業式の写真が数枚挟まれているだけになりました。
きっと私が、写真を撮られること、両親と写真を撮ることから避けるようになったせいだと思います。

父に抱きかかえられることが無くなっても、私は父に守られ、母から見守られていました。

いつからか、私が父の腕で抱えきれなくるくらい大きくなっても。
父から、母から守られ続けていたことを、結婚という節目を前にして、ようやく気付いたのです。

小さい頃の私の写真は、思いきり泣くか、思いきり笑っているか、どちらかでした。
あんなに心から笑ったり、泣く顔を、両親に何回見せられたでしょうか。

思いきり笑ったり泣いたり出来ることが、何よりの幸福だということと、
両親はそんな幸福を私にたくさん与えてくれたことを、あの写真は教えてくれました。

いつからか撮らなくなった家族写真。
何年振りか分からない家族写真を、この結婚式まで待たせてしまったことを、申し訳無く思います。

私には、未だ、人の親になる立場や気持ちはわかりません。
わかりませんが、両親のように、子供にとって自慢の親となりたいと思います。